とけていく…
『マスターが貸したCDを返しに店に来いって♡ ちゃんと行きなさいよ♡』

 不意にこの間駅前で会った時の真紀の言葉が頭の中をかすめたのだ。すると、フッと彼は鼻で笑った。

(気ぃ使ってるつもりかよ)

 彼はそんな風に考えながら、バスに揺られて学校に向かった。

 学校には、なんとかギリギリで間に合い、教室に滑り込むと、すぐに担任が入ってきた。雄介に挨拶する間もなく、彼は、軽く汗をかきながら自分の席に着いたのだった。

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