２０２号室の、お兄さん☆【完】

「アルジャーノン、……私」
そっとアルジャーノンを持ち上げて、見つめ合う。

もしかして、……私。



『花が咲かないサボテンなんて、要らなーい』


……ううん。

『もしかして』程度ならば、考えたら失礼だ。

魅力なんてない、私が、
そんな事を思うなんて、おこがましい。


「みかどー、本当に大丈夫ー？」

やはり、ノックもせずにいきなり千景ちゃんは入って来た。


「うん。お兄さんが髪を結んでくれて、心臓が軽くなったから」

「へーえ」

そう言って、ほくそ笑む千景ちゃんは……妖艶すぎてちょっと怖い。



「鳴海さーん！ 紙鑢のバイト代、いくらだったぁー？」


私も外へ出ると、お兄さん以外はもう部屋に戻っていた。
お兄さんも葉瀬川さんの部屋から戻る途中だったらしく、階段の真ん中で止まった。


「教えませんよー」

そう言うと、私の方を見て、にっこり笑う。


「サボテンと小動物が居る公園を知ってるので、今度このバイト代で行きましょうね」

「サボテンですか！？ それは、是非ともっ」

そう言うと、千景ちゃんが大胆に胸元の服をパタパタとし始めた。



「熱い熱い。問題無さそうだし、お休み、みかど」