202号室の、お兄さん☆【完】
「「「「「あっ……」」」」」
5人は、お兄さんが私の髪を撫でているのを見て、ソッとドアを閉めてしまいました。
「なんじゃ? 逢い引き中か?」
「ベンツどうしよう。千景ちゃん、ドライブ行かない?」
「あー、じゃあ、私と漫画喫茶行きますかー?」
「冷えピタ、誰かいる?」
「ちょっとっ 空気読みなさいよ! さっさと各自部屋に戻るのよ!!!」
……部屋の外は、まだまだ賑やかです。
「も、もー!!! 皆さん!!」
すぐにお兄さんは、真っ赤になって飛び出して行きました。
「うわー、セクハラ鳴海が出たぞー」
「逃げろ逃げろ、頭撫でられるぞー」
「きゃー きゃー」
「お主、ちゃんと順番を守るのだぞ!」
「鳴海ん、逢瀬が済んだら、紙鑢のバイト代取りに来てねー」
「違うんです! 僕はグルーミングを!!!」
「グルーミングですって! なんかやらしーっ」
外は、ドタバタ騒がしく、賑やかで楽しそうでした。
けれど、私は……、
お兄さんに撫でられた髪を、いつまでも触っていました。
胸が痛い、この病。
私は名前は知らないけれど、
とっくに気づいているのかも知れません。
――この病の、原因を。