202号室の、お兄さん☆【完】
只今金曜日!
バイトの休憩中に、早速お兄さんに表札案を見せました。
岳理さんがCG処理したなかなかの物です。
「確かに!! 定宗さんも花忘荘の仲間ですもんね! 新参者のアルジャーノンより、優先しなくては!」
コップを磨きながら、お兄さんが言ったけれど、良いと思います。更に可愛くなりそう。
でも、『心』の点じゃ、肉球は目立たないなぁ……。
「あ! 定宗さんに実際に歩いて足跡つけたら目立ちませんか!?」
よく見かける、コンクリートに残ってる猫さんの足跡みたいに!
「あー、可愛いですね。でも難しくないですかね?」
「多分出来ると思いますよ。定宗さんさえ嫌がらずに足跡を取らせてくれたら」
あ……、それが一番難しいのかっ。
「ふふふ、出来上がりが楽しみですね」
ふんわりと、お兄さんが笑う。
お兄さんが笑うと、私まで心が温かくなります。
岳理さんとは違って、安心して居心地が良いです。
「そういえば、テラスに早速ミントとバジルを植えてみました」
テラス席の前に、オシャレな鉢植えが3つ置かれていた。
「もう1つは、季節が来たら苺をと思いまして……」
「苺!!!」
私がそう言うと、お兄さんは目を細めて言いました。
「そう、みかどちゃんが喜ぶと思って」