202号室の、お兄さん☆【完】

お好み焼きに、青海苔と鰹節をかけながら、葉瀬川さんも会話に参戦してくれた。


「私がアポとろうか?」

「ぬっ! このお好み焼き麺が入っておらぬぞ!」

「い、いえ、そこまでしてもらったら葉瀬川さんに悪いです」
「ドラちゃん、麺が入ってるのは広島風なんだよ」

「私は分野も違うし、元から楠木先輩には嫌われてるから大丈夫だよー」

「広島風? お祭りの屋台は全て広島風派が占拠しとるのか」

「……ちょっと酔っ払いは静かにして! お口チャック!」

千景ちゃんが言うと、酔っ払いでノリの良い皆さんは口を閉めるフリをしてくれました。



「もうお兄さんの件とは無関係だし、私、1人で父と話してみます」

チラリと岳理さんを見ると、分かりやすいぐらい不機嫌になってます。


「大丈夫です。ただ父の気持ちが知りたいだけです」

それが、残酷な結果だとしても。

少しも私に愛情が無いのなら、私も父に怯える事は無くなるだろうし。


変わる為にも、私も私の気持ちを父に伝えたいから。



「楠木先輩って本当に女の人には不器用だよねー。
大体楠木先輩が本気になる人って皆、私や他の人にとられちゃうし」

葉瀬川さんはドラガンさんにお酒を注ぎながら何度も頷いた。
< 301 / 574 >

この作品をシェア

pagetop