202号室の、お兄さん☆【完】
「ところで、さ、みかどちゃん」
リヒトさんが言うので、首を傾げると、トールさんが廊下の窓から外を指差しました。
「あそこで煙草吸ってるの、――誰?」
「へ……?」
窓から外をよく見ると、道路に車が寄せていました。
……あ、あれは!!
「ど、どうしましょう!!!!」
慌ててドラガンさん達がいる和室から座布団を持ってきて、頭から被りましたが、……どうみても私を待ってます。
「良いよ。ドラちゃんは俺らが責任持って連れて帰るし」
「す、すいません!!」
「岳リン、どんな顔をして待ってる事やら」
クスクスと笑う2人は、とても妖艶で、意地悪で、悪魔の様でした。
うう……。私も覚悟を決めなくては。
外は6月初め。昼は暖かいのに夜は少し肌寒いです。
それなのに、半袖で車にもたれている、岳理さんは、平然としていました。
走り寄って行き、岳理さんを見上げると、すぐに灰皿で煙草の火を消しました。
「す、すいません!! あ、の」
「――楽しかったか? 合コン」
岳理さんは怒りもせずに、静かにそう言いました。
「え……。手品は凄かったですが、楽しいと言うより勉強になったと言うか、あの、すみません、私」