202号室の、お兄さん☆【完】
岳理さんの掴んだ腕は、やはり少しひんやりとしていました。
繁華街は、ざわめき、夜なのに人の気配は途切れず、空の星たち以外は騒がしいです。



「じゃ、帰るぞ」

「へ?」

「俺に夢中なみかどが、合コン行ったぐらいで騒がねーよ」

よ、良かったぁ……?
ちょっと拍子抜けです。



「俺は疑ったりしない」

「ありがとうございます」

「その変わり、心変わりされたら、監禁するかもしれねぇケド」

クッと笑うと、岳理さんは助手席のドアを開けてくれました。

私は、胸がきゅううっと痛くなって、
ふ、不謹慎ながらも、

岳理さんなら監禁されても良いって思ってしまいました。


それぐらい、私は岳理さんが好きなのかもしれません。



確かに、夢中ですね。

ぼーっと岳理さんの横顔を見ていたら、岳理さんはポツリと言いました。


「リヒトとトールは合コンとなると毎回あの手品するからな」
「毎回……? というか岳理さん、あの手品見た事あるんですね」

と、言うことは、ご、合コンに一緒に行った事あるってことでは……?


「あれは、俺が教えたからな」
「……そーですか」


「言っとくケド、4年間も鳴海のストーカーしてたから合コンなんか行ってねーぞ」
< 504 / 574 >

この作品をシェア

pagetop