202号室の、お兄さん☆【完】

「お兄さん!」
腕組みをして悩むお兄さんに声をかけると、此方を見て手を振ってくれました。

「スーツだと雰囲気が違いますね。入学式帰りですか?」

「はい。人が多くて酔いそうでした」
そう言って、お兄さんの見ていた棚を見たら、納豆コーナーでした。


「納豆、好きなんですか?」

「好きなような、普通なような。ただ、給料前の大事な戦友なのですよ」

「ほぉ~」

「納豆+卵の王道、ごま油、マヨネーズ、ネギ、キムチ、単独でも美味しいですよね。
でも3つで66円は賞味期間が2日早く、69円が遅いので悩むというか……」

最近分かった事。
お兄さんは、食べ物の事になると饒舌になる。
なかなか慣れたら可愛らしいです。

「私もスーツ買ってお金無いので、卵料理月間にしようかな……」
「おっ 卵ですか! 卵でした、ら」

ヴーヴーヴー


「わっ! すみません」

慌てて携帯を取り出し、読まずに削除する。


「最近、め、迷惑メールが多くて」
正確には『脅迫メール』なのですけど。


「ああ、セキュリティ設定してますか? 指定受信なら登録したメール以外拒否できますよ」
「ありがとうございます」

優しい……。
本当に、岳リンさんとは大違いだ。
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