202号室の、お兄さん☆【完】

やや欠けた月は、満月とは言えず不完全なのに、空で輝いていた。

優しく照らす月が、何故か今日は寒く、冷たく感じる。


お兄さんの笑顔が、初めて怖いと思ったんだ。

何でだろう。あんなにも優しい人なのに。




部屋に入って、机の上の携帯を開いた。

『日曜日、駅前に14時。
必ず来るように。
来なかったら迎えに行く。
実家の場所も分かっている』


内容を見て、ちょっとだけ安心した。
お兄さんには、全く関係のない内容だったから。


携帯を閉じ、アルジャーノンを枕元に引き寄せて、私は目を閉じた。

眠れないと分かっていても。




『長き夜の遠の眠りの皆目覚め

波乗り船の音の良きかな』


本当は初夢の縁起を呼ぶ回文なんだけど、縁担ぎに唱えながら寝てみた。


早く早く、忘れるようにー……。
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