キミ、カミ、ヒコーキ
裏口は細い砂利道が続いていて、更にその奥を抜けると、広い空き地になっている。無数のねこじゃらしと、無駄に長い雑草が所狭しと並んでいる。残りの三人のガキは、その空き地で走り回っているようだ。


見てるだけでむずがゆい。「行きたくねー」と声を漏らすと、水玉のガキがあたしのシャツの裾を引っ張てきた。

「たぁたぁ」

水玉のガキは、空き地を必死に指差している。


「あっ? お前あっちに行きたいのか?」


「あうっ」


「あー非常に残念だ。姉ちゃんな、ねこじゃらしアレルギーでなあ。ねこじゃらしに触れるとおばけに変身しちゃうんだよ」

「んーん」

水玉のガキは嫌そうな顔をした。あたしのシャツを引っ張る力は更に強まった気がする。


「ぶーぶ! いーやいーや。にいたんにいたん!」

あっ、やばい。このガキ泣きそうだ。ほら、めんどくさい感じになってきた。


やはりガキのワガママには勝てないのか。




「畜生……しゃーないな。よしお前、姉ちゃんの背中に乗れ。ぶーぶしてやる」

「たぁい!」

あたしはそのまま水玉を連れて未開の地へと歩を進めた。
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