Lost voice Ⅱ‐キミ ノ オト‐
全員でひとしきり喜んだあと、愁生さんを中心に話し合いが進められた。
愁生さん曰く、まだ完全に決まったわけではないらしい。
愁生さんにCDを出さないかと持ちかけたレコード会社の人――名刺には、金岡とあった――が、上層部にかけあい、後日お偉いさん方の前で演奏して合格したら、ということらしい。
つまり、その本番を成功させなければ私たちの夢は泡と消えてしまう。
「頑張りましょう!私、張り切って歌いますから!」
「だな」
愁生さんがニコッと笑い、大きく頷く。
「俺も、わくわくして、じっとしてらんない」
珍しく、李織さんが目を輝かせてそわそわとしながら言う。
「なんとしても、成功させよう。俺らなら絶対できる」
暁くんも、立ち上がって興奮を押さえきれない様子だった。
「気合い充分じゃねーの。じゃあ、前祝いに祝杯でもあげるか?」
ニヤリと口の端を持ち上げた原田さんは、人数分の飲み物を用意してくれた。
匂いからして、お酒だった。
「開店まで時間ないから、今日は一杯だけだけどな。」
それぞれがグラスを持つ。
一つだけ明らかにジュースが混ざっているのは、私の分だ。
まだ私だけ未成年。
原田さんは、そういうことに意外と厳しい。
「じゃあ、Rainデビューの前祝いと頑張ろうぜを兼ねて…」
『カンパーイッ!』
全員の声が重なり、カァンというガラス同士がぶつかる甲高い音が響く。
ああ、絶対、絶対成功させよう。
このメンバーで、夢を叶えよう。
強く決意した。
予想外の来客があったのは、まさにその時だった。