Lost voice Ⅱ‐キミ ノ オト‐
「…よぉ、相変わらずここに集まってんのか」
突如響いた聞き慣れない声に、入り口に視線をやる。
重たい扉が閉まる音が、やけに大きく響いた。
ゆっくりと階段を降りて現れたのは、金髪の男の人だった。
背が高く、わりとイケメンの部類に入るだろうルックスなのに、ニヤニヤと不遜な笑みを浮かべていた。
あれ、この人…?
「おまっ…龍!?」
優兄が、剣呑な様子でグラスを叩きつけるようにテーブルに置き、彼を睨み付けた。
龍、って…
そこでようやく思い出す。
彼は、テラスで最低な行いを武勇伝かのように話していた人だった。
仲間が優輝に絡んでいるとき、何故か私をガン見していた。
「よぉ、ユースケ。相変わらずバカっぽいなぁ」
「あぁ?んだとテメ…っ!?って、違う!なにしに来たんだ!」
龍さんの人を小馬鹿にした言い方に、優兄も頭に血が登りかけたがすぐに立て直す。
それを見て、つまらなさそうに舌打ちしたあと、また不遜なニヤニヤ笑いを浮かべる。
「なに、久々に遊びに来ただけだよ」
龍さんはそう言うと、また私を値踏みするかのようにじっくりと見る。
その無遠慮な視線に思わずたじろぐと、視界をサッと大きな背中が遮った。
暁くん…。
気付いて守ってくれたのだ、とわかると胸がきゅんとした。
そっと背中に頭をもたれかける。
「お前はだいぶ前に抜けただろ。今さらなんの用だ」
次に静かに声をあげたのは、愁生さんだった。