好きだったよ、ずっと。【完】
「朱里」



いつのも声より、ワントーン低い春夜の声。



「は、はいっ」



わたしは慌てて返事をし、顔を上げた。



春夜と目が合えば、少し苦笑した春夜の顔。



わたしの発言が、春夜を傷つけてしまったことに後悔が増す。



そうだよ、別に今、璃香に報告しなくたって良かったんだよ。



どうしてわたしは、後先考えずに行動してしまうんだろう…。



「俺、やっぱ今日は帰るわ」



あれこれ、考えてると春夜の声が耳に届いた。



「……っ、春夜、わたしのことキライに……」



「そうじゃなくて」



「キライになった?」と聞こうとすれば、被せてきた言葉。



そうじゃないなら、なに…?



わたしの顔がよっぽど、半泣きに近かったのか春夜が一歩、わたしに近付いた。



「そんな顔、すんな。お前のこと、キライになったわけじゃないから」



そう言われ、少しホッとした自分がいた。



でも、やっぱり理由が聞きたい。



って、聞きたくない事実を聞いてしまったんだ。



わたしなら、距離というか、顔を合わせたくないと思うだろう。



きっと、春夜もそうなんだ。
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