好きだったよ、ずっと。【完】
「朱里、足元気を付けろよ」



「え」



電車の中は、結構混雑していて降りる時にそう言われドキリとした。



そして、その言葉に気を取られ、わたしは後ろの人に押されバランスを崩した。



「わっ!!」



「だから、言ったろ」



瞬間、春夜が横から、わたしの腰を抱き、無事転ばずにすんだ。



「ご、ごめん。ありがとう…」



「あぁ」



腰に回された手の感触が、わたしの心を刺激する。



もう、落ち着きなさいよ!!



わたしの心臓めっ。



腰を抱かれているだけじゃないっ。



わたしに気持ちなんかないんだから。



こんなのに、いちいちドキドキしてたら、あさってからの仕事はどうすんの。



あー、仕事…。



ホントにどうしよう…。



普通に出来るのだろうか…。



紗央里に相談してみようかな…。
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