好きだったよ、ずっと。【完】
駅から出て、自宅に向かう途中。



いつの間にか、腰に回されていた手は離れ少し寂しく感じた。



わたしの自宅までは徒歩10分で、この10分も春夜はずっと無言だった。



ただ、わたしの歩幅に合わせて歩いてくれていて。



春夜は、何を考えているのだろう。



わたしに告白されて、困ってるんだろうな。



はぁ…、やっぱり言わなければ良かった。



そんな後悔をしたって、もう言ってしまったものは仕方ない。



短く息を吐き、わたしは口を開いた。



「春夜、送ってくれてありがとう」



家の前に付き、何とか笑顔で言った。



うまく笑えているだろうか。



なのに春夜からは、想像もしてなかった言葉が。



「腹減った。何か作れよ」



「はい…?」



頑張って笑った、わたしの努力を返してほしい…。
< 86 / 267 >

この作品をシェア

pagetop