いと甘し。
疲弊しきった私は、フラフラと教室をあとにした。
何が親友だ。結局あの2人は私を独占したいだけで。そのためなら私が悪者になるのも構わないってわけだ。
真希ちゃんは確かにいつも私の後ろにくっついていたけど、妹みたいで可愛かった。
蘭ちゃんはジュディマリししか聴いたことがない私に、いろんなバンドを教えてくれた。
私は2人のことをそれなりに気に入っていて、人生で一番短い高校生活を共に全うできると思っていた。それなのに…。
「古田、大丈夫?」
右手を掴まれ、私は弾かれたように振り返った。
目の前にいたのは、斎藤昌也だった。
「…なにが」
質問の意味は分かっていたけれど、大丈夫だとも大丈夫じゃないとも言えなかった。
一瞬でも気を緩めてしまったら、私は溜まりに溜まった汚い気持ちを、彼にぶつけてしまいそうだったから。
「分かってるくせに。鈍感なふりすんなよ」
そう言って眉を下げた彼は、私の頭を一度だけクシャリと撫でた。