いと甘し。
「正直言って、私のほうが加代ちゃんと仲良いし。真希ちゃんみたいに執着心丸出しの人、加代ちゃんは好きじゃないよ」
「なに言ってんの?蘭ちゃんこそ、四六時中変なバンドの話ばっかりしてさ。加代ちゃんが退屈に感じてるの気づいてないの?」
そんなことないよ、と言いたいのに、私の口はカラッカラに渇いて声が出なかった。
端からしたら、私はただの性格がねじ曲がってる奴じゃないか。
真希ちゃんの執着心の強さに嫌気がさしてたのは、蘭ちゃんのほうでしょ?
蘭ちゃんのバンドの話に退屈してたのは真希ちゃんじゃないの?
突如、喉の奥に熱いものがこみあげてきた。視界がぼやけたのが涙のせいだと気付くまでに、そう時間は掛からなかった。
「…もう、いいよ」
クラス全員の視線が、私に向けられる。さっきまで言い争ってた2人も、ぽかんと口を開けてこちらを見ていた。
「…もういいよ。真希ちゃんも蘭ちゃんも、私の友達じゃない」
泣いていることに気付かれたくないので、下を向きながら喋った。だけど、鼻を啜る音はどうにも誤魔化せなかった。