いと甘し。
いつの間にか私の傍らにやってきたばあちゃん、いや、タエさんが私の頭をペシリと叩いた。
痛くは無いけれど、シワシワで骨ばった手は、私の怠け心を居心地悪くさせる。
「…分かったよ。やりゃあいいんでしょー」
私は手をひらひらと振って、気怠げに立ち上がった。タエさんはまだなにか言いたそうな顔をしていたけど、溜め息をひとつつき、厨房へ戻っていった。
タエさんは私の父方の母である。まぁ要するに私の祖母だ。彼女は自分のことを名前で呼ばせる。
なぜかは分からないが、ばあちゃんと呼ぶと怒るのだ。
あれはまだ私が7つの時だった。私は学校から帰り、なごみ屋の戸を開けた。
お客さんで賑わう店内を進み、伝票を整理していた祖母の元へ行き、ガバッと勢い良く抱きついた。
「ばあちゃんただいま!今日のおやつなーに?」
笑顔でそう問いかけると、祖母は鬼のような形相をして、
「誰がばあちゃんや!私はまだ55歳!ばあちゃんじゃありません!」
と言い放った。