sweet wolf






気付いたら、スキップをしそうな勢いで廊下を歩いていた。

何と言うか……

あたしは浮ついていた。




蓮が味方してくれた。

あの女たちをシメてくれた。

その事実だけで、ここまで気分が楽になるなんて。

自分でも驚きだった。





だから、愚かなあたしは何も気付かなかった。

女子たちが口を閉じ、顔を強張らせているのを。

男子たちが一斉に目を見開き、その人物を見ているのを。






「おい」




低い声が聞こえた時、ようやくあたしは現実の世界に戻ってきたのだ。



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