sweet wolf







「そこまでにしておけ」




もう一つ、新しい声が聞こえた。



その声を聞いた瞬間、すーっと恐怖が遠のく。

鼓動が速くなり、身体に熱を持つ。



あたしの身体……

やっぱりおかしい!







だが、その声は確かにあたしの知っているその声だが、あたしの記憶のその声とはまるで違っていた。

どこか地の底から這い上がってくるような、恐ろしい怒りに満ち溢れていて。

ブリーチの声なんてどうでも良くなってしまうほどだった。




「そいつに手ぇ出したら……」




ゆっくりと顔を上げる。

シャツをだらしなく開けた、その胸元を視線が通り過ぎる。

細いがしっかりとした首元には、アッシュの髪がかかっている。




「殺す」




彼がそう言い放った時……

あたしは彼から目が離せなくなった。



< 129 / 312 >

この作品をシェア

pagetop