sweet wolf




ありがとう。




そう言えば済むはずなのに、素直になれない愚かなあたしは、お礼すら言えない。





「仕方ないな」




それは直樹の台詞なのに。

なんであたしが言うんだろう。

それでも直樹は怒ったり不機嫌になったりはしない。




「ありがとう」




笑いながら弁当を開いた。





そんな直樹を見ていると、泣きそうになった。

あたしが嫌われる原因が分かった気がした。

今までは自分を曲げないつもりで生きてきた。

だけど、曲げなきゃいけない時だってある。

自分が悪かったら謝って、お世話になったらお礼の言葉を言わないと。




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