sweet wolf
だが……
「大宮先輩。
たまにはあたしと帰ってください」
甘ったるい、だけど切なげな別の声が聞こえた。
あたしは思わず声のする方をガン見していた。
後ろの扉に彼は立っていた。
すらりと背は高く、制服をだらしなく着ている。
そのアッシュの髪は、窓から吹き込んでくる風になびいていた。
その前に、その女がいた。
モデルみたいに背が高く、短いスカートから覗く足はカモシカのよう。
栗色の長い髪がきらきらと輝いていた。
そして、その女はあたしにデッキブラシを振り上げた、あの三人組のうちの一人だったのだ。