sweet wolf





ふと、あたしの方を蓮が見るのが分かった。

その瞳で見られていると思うだけで、身体が強張って熱を持つ。

変なあたし。





「ねぇ……」





再び訪れた気まずい沈黙を破るために、あたしが発した言葉。

からかうつもりでかけた、苦し紛れの言葉。

あたしの頭にはもうこのことしかなくて。

自分で言ったのに、ひどくへこんでしまう。






「気持ちいいの?」



「は?」



「……えっち」





蓮は黙ってあたしを見る。

驚いたようではなく、むしろイラついているようなその顔。

思わず目を反らしてしまう。



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