sweet wolf



ピアスをじゃらじゃらさせ、傷んだ金髪を揺らし、嫌な笑みを浮かべ、奴はあたしたちを見ていた。

あたしの横にいた直樹が、あたしを庇うように一歩前へと出る。

直樹のくせに。

直樹の分際で。

……胸が苦しい。





そんな直樹を見て、ブリーチはほくそ笑み、言葉を吐く。




「お前に何が出来る」




確かに、直樹は蓮とは違う。

蓮はあたしを守ってくれたけど、直樹は喧嘩なんて出来ないだろう。



それなのに、




「杏ちゃんには手を出さないでください」




毅然とした態度でブリーチに立ち向かう。




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