sweet wolf
そよそよそよ……
風の音だけが聞こえる。
そして、秋の風がブレザーの裾を巻き上げる。
蓮は機嫌が悪く、仏頂面。
そのしかめっ面のまま、口を開いた。
「どうしてそんなにシケてる?」
……は?
シケてるのはあんたでしょ。
「なぁ、杏」
さすがに黙っているあたしを気にしだしたのか、あたしの顔を覗き込む。
大丈夫だって返事をしたいのに、あたしの心はいっぱいいっぱい。
心の余裕なんてなかった。
「クソ女」
酷い言葉。
「俺が何したっつーんだよ?」
その言葉にあたしのアタマはブチ切れていた。