sweet wolf






玄関の奥にある掲示板に人だかりが出来ていた。




「なんで?」




女の悲鳴のような声や、




「マジかよ」




男の低く唸る声が聞こえる。

そんな群れには全く興味のないあたし。

掲示板に貼ってあるものを確認もせず、階段を上った。





あぁ、今日も憂鬱な一日が始まる。

どんな酷い一日になるだろう。





胃がキリキリと痛みだす。

気にしないようにしようと思うが、昨日のトイレでの出来事を思い出し、体が震えた。

途中、屋上庭園に逃げることも考えたが、逃げたら負けだと思った。





「嫌だよ……」




あたしは気付いたら小声で呟いていた。


だが、時間は待ってくれない。


あたしは教室の前に辿り着き、震える手でドアを開けた……。






< 90 / 312 >

この作品をシェア

pagetop