sweet wolf
玄関の奥にある掲示板に人だかりが出来ていた。
「なんで?」
女の悲鳴のような声や、
「マジかよ」
男の低く唸る声が聞こえる。
そんな群れには全く興味のないあたし。
掲示板に貼ってあるものを確認もせず、階段を上った。
あぁ、今日も憂鬱な一日が始まる。
どんな酷い一日になるだろう。
胃がキリキリと痛みだす。
気にしないようにしようと思うが、昨日のトイレでの出来事を思い出し、体が震えた。
途中、屋上庭園に逃げることも考えたが、逃げたら負けだと思った。
「嫌だよ……」
あたしは気付いたら小声で呟いていた。
だが、時間は待ってくれない。
あたしは教室の前に辿り着き、震える手でドアを開けた……。