二重人格三重唱
「まあ翼さん。この前の探し物見つかった?」
節子は言ってしまってからハッとして、口に手を当てた。
「この前ここに来たの?」
陽子の問い掛けに頷いた翔は、陽子を逃がさないようにする為にずっと手を離さなかった。
「相変わらず仲がいいね」
節子の言葉に慌てて翔が手を離す。
「何もそんなに慌てなくても……。今日は車じゃないんかい?」
「車はお義兄さんが乗って行ったの。同僚の結婚式だって」
「夫婦仲良くかい?」
節子の質問に陽子が頷く。
「天下一品よね。あの夫婦仲の良さは」
陽子が言うと、節子が笑った。
「何言ってるの。アンタの所も相当なもんだよ」
節子は笑いながら二人の肩を叩いた。
「お母さん、ちょっとトイレ借りていい」
陽子はそう言って、翔の手をそっと外した。
まさか、節子の前ではトイレまでは追い掛けては来ないだろう。
陽子はそう思っていた。
陽子は玄関を出る時持っていたメモ帳に遺書を書き出した。
《自分はもしかしたら殺されるかも知れない》
《きっと翼も何処かで殺されている》
(真実を母に……)
陽子はペンを走らせた。
「ここできっと殺されたんだ」
駐車場で翔が言う。
「車にシートを敷いてカーペット……」
「ふふ、馬鹿ね」
陽子は翔の無鉄砲な推理を否定した。
「御両親共、自ら車に乗ってくれたなら犯行は可能だけど」
「殺されるって分かっていてそれはないな」
翔は腕を組んだ。
「何かあるはずだ」
翔は独り言を言いながら陽子をじっと見つめていた。
翔は動じない陽子の態度を見て、此処が殺人現場ではないと感じたらしかった。
節子は言ってしまってからハッとして、口に手を当てた。
「この前ここに来たの?」
陽子の問い掛けに頷いた翔は、陽子を逃がさないようにする為にずっと手を離さなかった。
「相変わらず仲がいいね」
節子の言葉に慌てて翔が手を離す。
「何もそんなに慌てなくても……。今日は車じゃないんかい?」
「車はお義兄さんが乗って行ったの。同僚の結婚式だって」
「夫婦仲良くかい?」
節子の質問に陽子が頷く。
「天下一品よね。あの夫婦仲の良さは」
陽子が言うと、節子が笑った。
「何言ってるの。アンタの所も相当なもんだよ」
節子は笑いながら二人の肩を叩いた。
「お母さん、ちょっとトイレ借りていい」
陽子はそう言って、翔の手をそっと外した。
まさか、節子の前ではトイレまでは追い掛けては来ないだろう。
陽子はそう思っていた。
陽子は玄関を出る時持っていたメモ帳に遺書を書き出した。
《自分はもしかしたら殺されるかも知れない》
《きっと翼も何処かで殺されている》
(真実を母に……)
陽子はペンを走らせた。
「ここできっと殺されたんだ」
駐車場で翔が言う。
「車にシートを敷いてカーペット……」
「ふふ、馬鹿ね」
陽子は翔の無鉄砲な推理を否定した。
「御両親共、自ら車に乗ってくれたなら犯行は可能だけど」
「殺されるって分かっていてそれはないな」
翔は腕を組んだ。
「何かあるはずだ」
翔は独り言を言いながら陽子をじっと見つめていた。
翔は動じない陽子の態度を見て、此処が殺人現場ではないと感じたらしかった。