二重人格三重唱
二人は武州中川駅に向かった。
陽子の実家の駐車場が殺人現場ではないと感じた翔。
でもあのステーションワゴンなら犯行は可能だと思った。
だから此処へきたのに……
翼と陽子のアリバイ。
此処に確かにいたから証明された。
だから彼処で殺害したと思ったのだった。
追求を諦めたのは、もう一つの目的を果たすためだった。
駅では三峰口到着をカメラに収めようとするためなのか?
三脚は既に用意して席に座っている人達が大勢いた。
「これもSLの為か?」
又腕を組む翔。
武州日野・白久・三峰口。
電車は否が応でも陽子を運ぶ。
その先に何が待ち構えているのか。
陽子はその答えを知るのがとてつもなく怖かった。
それでも翔と、其処に住むであろう翼を陽子は見つめ続けた。
翼とのデートの時には間に合わなかった三峰神社行きのバス。
今日は余裕で間に合った。
でもあの日は三峰神社が目的ではなかった。
本当は大輪に行きたかったのだ。
活発な陽子が何故か何時も泣いていた、荒川に架かる赤い橋。
其処へどうしても案内したかったのだ。
何故だか解らない。
其処で何かが待っている。
そんな気がしてならなかったから。
駅の反対側にあるバス停。
建物の一部となって、雨などが降って来ても濡れない構造だった。
あの日は三峰神社行きばかり見ていた。
でも大輪だったら、秩父湖行きでも良かった。
そのことに初めて気が付いた陽子。
思わず赤面していた。
三峰口駅前のバス停から神社行きのバスに乗って二人は出発した。
休日は五本。
平日は三本。
西武秩父駅からの急行三峰神社行きが出る。
第一停留所・大輪に止まった。
三峰口駅前から大輪までに幾つかのバス停がある。
でも急行はそれらを抜かして走っていた。
「ここに住んでいたんだ。ロープウェイ入口があったから、三峰土産売っていたの」
窓の向こうの景色を見ながら、陽子は懐かしそうに言った。
「じゃあ、帰りに降りてみよう」
何気なく言った一言に、翔は戸惑った。
翼が言わせたのではないかと翔は思った。
翔は本気で陽子の殺害計画を練っていた。
バスの中でも殺気が伝わってくる。
陽子の実家の駐車場が殺人現場ではないと感じた翔。
でもあのステーションワゴンなら犯行は可能だと思った。
だから此処へきたのに……
翼と陽子のアリバイ。
此処に確かにいたから証明された。
だから彼処で殺害したと思ったのだった。
追求を諦めたのは、もう一つの目的を果たすためだった。
駅では三峰口到着をカメラに収めようとするためなのか?
三脚は既に用意して席に座っている人達が大勢いた。
「これもSLの為か?」
又腕を組む翔。
武州日野・白久・三峰口。
電車は否が応でも陽子を運ぶ。
その先に何が待ち構えているのか。
陽子はその答えを知るのがとてつもなく怖かった。
それでも翔と、其処に住むであろう翼を陽子は見つめ続けた。
翼とのデートの時には間に合わなかった三峰神社行きのバス。
今日は余裕で間に合った。
でもあの日は三峰神社が目的ではなかった。
本当は大輪に行きたかったのだ。
活発な陽子が何故か何時も泣いていた、荒川に架かる赤い橋。
其処へどうしても案内したかったのだ。
何故だか解らない。
其処で何かが待っている。
そんな気がしてならなかったから。
駅の反対側にあるバス停。
建物の一部となって、雨などが降って来ても濡れない構造だった。
あの日は三峰神社行きばかり見ていた。
でも大輪だったら、秩父湖行きでも良かった。
そのことに初めて気が付いた陽子。
思わず赤面していた。
三峰口駅前のバス停から神社行きのバスに乗って二人は出発した。
休日は五本。
平日は三本。
西武秩父駅からの急行三峰神社行きが出る。
第一停留所・大輪に止まった。
三峰口駅前から大輪までに幾つかのバス停がある。
でも急行はそれらを抜かして走っていた。
「ここに住んでいたんだ。ロープウェイ入口があったから、三峰土産売っていたの」
窓の向こうの景色を見ながら、陽子は懐かしそうに言った。
「じゃあ、帰りに降りてみよう」
何気なく言った一言に、翔は戸惑った。
翼が言わせたのではないかと翔は思った。
翔は本気で陽子の殺害計画を練っていた。
バスの中でも殺気が伝わってくる。