シュガーメロディ~冷たいキミへ~
私がここまでピアノを続けられたのは間違いなく、のん先生という目標があったから。
挫けそうになったとき、躓いて立ち上がれなくなりそうだったとき、それでもピアノをやめられなかったのは、水無月くんの言葉があったから。
中学のときは勉強との両立がつらくて、一度は学校の近くの通いやすいピアノ教室に変えた。
だけど、やっぱり憧れはのん先生で。
のん先生みたいに弾きたい。
そう思ってもう一度教室に戻ろうと思った時には、もうのん先生の教室は閉まっていて、すごくショックだった。
のん先生のピアノがなかったら、私はいったいどこを目指して、何を頼りにピアノを弾けばいいの、って思った。
まだまだ未熟な私には、のん先生という大きな目標がいてくれなきゃ困る、って。
だから、私は。
今思えば恥ずかしくなるくらい自分勝手な思いで、もうピアノを教えることをやめたというのん先生に縋りついた。
どうしても諦められなくて、何度断られても、断られるのが分かっていても、のん先生にお願いした。
もう一度、ピアノをみてほしいと。
もしも本当に今までみたいに弾けないというのなら、今までと同じ音じゃなくてもいい。
もしものん先生が失った音をもう一度欲しいと思うなら、私がのん先生が願う以上のピアノを奏でられるように頑張るから。
だから、あんなにピアノを好きだった先生の音を私から奪わないでほしいと、カッコ悪いけど泣きついたことことだってあった。