【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ

「俺は今朝から確認してるが、一万円をぶち込んだやつもたくさんいた」

「それを確認するために朝1から来てたんですか!」

「それ意外に神社ですることがあるか」

 トナカイが一生懸命に両面テープにコインをひっつけてるのを傍らに、タクローは馴染みの葉巻をくゆらせた。


 何度も確認したがコインの類しかひっついてこない。


「くそ、ダメか」

「よし、プランBだ。次はあそこだな」

 指さした先は本殿。

「タクローさん、さすがにここはやめましょうよ」

 トナカイが正しいことをしっかりと言った。



「あれを出せぃ」



 深く溜息をつくとトナカイは仕方なしにあれを出した。


 クックレ556


 それは、開かなくなった戸や滑りの悪い戸の下に噴射すると滑らかに動くというモノだ。

 タクローは本殿の戸の下全体に、惜しみなくクックレ556を噴射した。



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