甘い囁きは耳元で。
なんだか、よくわからないけど。
目は潤む。
まっすぐ向けられる視線が、射抜くような強い視線が
痛いはずなのに私の体を包んでいく。
「か、和樹くん」
「優香ちゃん」
「はい」
もう、照れくささは限界だった。
たくましい胸についていた手をそのまま首に回して、せっかく作った距離を今度は自らなくした。
ドキドキと、うるさくなる私の胸の音を、むしろ相手に聞かせてしまったほうが彼は安心するのではないかと思う。
こんなにも、私はあなたにドキドキしていて
今が幸せなのですよ、と伝えられる気がする。
「和樹くん
大好き」
耳元で囁いた言葉。
ああもう、我慢していたものがこぼれ落ちる。
こんな、幸せでいいのですか。
幸せで、涙が出るという感覚を味わえるということはすごく幸せだね。