ありがと。



“お前は死なねぇよ”



一番嬉しい一言。
今まで死ぬ事しかなかったあたしは涙腺が壊れたのじゃないかと思うくらい涙を流した。



「なぁ、かのん?今言うことじゃねぇような気がすんだけどさぁ、言っていい??」


「ん?何?」


「俺これから先ずっと、かのんの事守っていけねぇかな??」


「・・へ??」


あまりの急なことで頭がついていけなかった。



「簡単に言ったら、俺と付き合ってもらえませんか??」



隼人君が顔を赤くしてまた車を走らせた。



今日は色んなことがある。

病院の事。
癌じゃないこと。

でも、隼人君の告白には今日一番の
嬉い驚きかも知れない。


「…え・・っと。」


「っあ!!今じゃないくていいから!!」



あたしの中ではもう答えが出ていた。
なのに言葉に出来ない。
今言わないといけない、そう思っているのに言葉に出来ない。


「じゃあ、返事待ってるから…。」


隼人君は前を向いて切っていた車のエンジンをかけた。
あたしはこの言葉に出来ない気持ちを表現できなくてモヤモヤしていた。


「んじゃ、マンションに戻りますか。」


5分もたたない内にマンションに着いた。


「今日はありがとう。でも、一応大学病院に行って検査してくる。」


「うん。行って来いっ!絶対大丈夫だと思うけどなっ」


今言わないといけない気がした。


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