ありがと。


今日がエイプリールフールで皆があたしを騙しているのかと思った。
嬉しい事なのにいきなり過ぎて何がなんだか分からない。


ただ、涙だけが出てくる。
なぜか分からない。


・・・悲しい?

・・・怒り?
 
・・・幸せ?

・・・嬉しい?


きっとこの時は驚きだと思う。
今までどん底にいたのにいきなりこんな事になってもただ、ただ驚くばかりな気がする


「なぁ、かのん??石田病院ってお前の行ってた病院だろ??」


「…う・・うん。これ、なんなの??」


「わかんねぇ。でも、お前は癌じゃねーよ!!絶対ちげぇ。」


隼人君はあたしの肩を持って前後に揺らした。
あたしは“癌じゃない”その言葉だけが頭にこだましていた。


「・・・・」



「かのん?どうしたんだよ。ちょっと来い!!」


あたしは隼人君に腕をつかまれ車に乗せられた。
ただ呆然と車に乗っているあたしを見ながら隼人君は車を出した。



さっきからずっと沈黙が続いている。
ただクラシックだけがなっている。
何か心が暖かくなる様なメロディーだ。

何も言葉を発さないあたしをバックミラーで見ながら隼人君が沈黙を破った。



「外ちょっと見てみ??」


あたしは言われた通り外を見てみた。
そこにあったのは、石田病院前だった。
警察らしき人が出入りしている。



「…ホントにホントなの??」


「ホントだろ??お前は死なねぇよ。」



その言葉に乾いた涙がまた溢れ出してきた。







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