甘い囁きが欲しい
鈴木部長に、言われたら私は反論を一呼吸おいてしっかり考えなくてはならない。
この人は仕事面ではもちろん、人間的に尊敬してしまっているのだ。
そんな人間なんだ、彼は。
でも、そうわかっていながらも松木さんの姿と笑顔を思い出して私は何も言えなくなる。
否定も肯定も
前進も後退も
何もできずに、今の場所から動けない。
「でもッ!」
反抗の言葉を出してみたのに、続く言葉もなんて伝えればいいのかも何も思いつかなかった。