世界で一番、ずるい恋。




その瞳に映るものが何か知りたくて私も視線を校舎の外に向ける。




だけど今日は文化祭。

人が多すぎて、彼が何を見つめているのかが分からない。





「律、何を見てるーー」

「行くぞ、茜」






何を見てるの?そう聞き終える前に私の言葉は遮られた。


そしてどこに、行くの?という質問をさせることなく、私の右手を掴んで歩きだした。





「やるからには、徹底的にやんねぇと意味がない」





そのまま歩き続け、辿り着いた先はーー体育館裏。




「ったく、学習しないんだから」





まるで吐き捨てるようにそういった律。

その表情と口調からは、彼を支配してる感情が読み取れない。


私たちがいる体育館へと続く渡り廊下の柱の少し向こうには先生が、そして恋那ちゃんがいるって分かってる。



なのに、纏う雰囲気が変わって、まるで知らない人のような律に戸惑いを隠せなくて、気になって仕方がない。

度々見せる、この姿に馴れない。








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