世界で一番、ずるい恋。
「茜ちゃん、千堂くん、お疲れ!交代しに来たよー!」
ぐったりと項垂れる私のもとにクラスメートという名の女神がやって来た。
呼び込みって、こんな疲れるものなの……?
ただ看板持って、チラシ配って、それだけだと思ってたのに、やっぱり律の集客力は半端じゃなかった。
獲物を見つけた猛獣のように大量の女の人が群がって、人に埋もれかけた。
「だから、今からは二人でゆっくり回ってね~」
ニヤリと意味深に微笑んでそう言うと、看板を私から受けとって、すぐに消えてしまった。
……私って、律と文化祭まわるのかな?
でも、カップルだったら普通だよね。
だけど、普通のカップルだったら普通のことだけど、私たちは…違うしね。
チラリと様子をうかがうために視線を向ける。
てっきり律も私の様子を気にしてる、と思ってたのに、違った。
律の視線は私でも去っていったクラスメートでも無くて、ただ、じっと窓から校舎の外を見つめていた。
ーー酷く、冷めた目で。