世界で一番、ずるい恋。




家から学校まではバスで20分。


市が経営している高校だから市内の色んなところから生徒が集まるから、私はわりと近い方だと思う。



高校のほぼ目の前のバス停で降りる。



お昼過ぎだからか、部活を終えた様子の生徒たちがチラホラ門から出てくるのが見える。


部活によっては既に最後の大会を終えて、三年生は引退したから、知らない顔ばかり。


挨拶してくる後輩に笑顔で返しながら、校門のなかに入った。





靴を履き替えて、職員室を目指す。



廊下に響く蝉の音、夏独特のジメッとした空気。


嫌でも、夏だって思い知らされる。


今年は夏らしいこと何もしてないなぁ、と日焼けせずに白い肌を見て思う。



勉強か家でゴロゴロしてただけだもんな……。

何よりも、何かをする相手がいないっていうのが一番の理由なんだけどね。



去年は海に行ったり、買い物に行ったり楽しかったな……。

って、何考えてるんだろ。


早く図書室に行こう……。






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