世界で一番、ずるい恋。





「あっつ…」




図書室のドアを開けた瞬間、嫌悪感に包まれる。

何なのこの地獄のような場所。


私が来るまで誰も来なかったのかな?

何だか少し埃っぽい気がする。


だけど夏休みに学校に来てまで掃除はしたくない。

だからそれは諦めるとして、クーラーのリモコンを手にしてスイッチを入れた。


ああ、失敗だったかな。

こんな暑さじゃ勉強どころじゃないよ。



鞄をカウンターへと放り投げる。

いつもは誰も本を借りに来ないからわざわざ座んないけど、たまには良いかな。



だって、いつもの席に座ったら数学準備室が視界に入っちゃうもんね。

カーテンしめれば良いんだけど気になる……って、こんなことを考えてる時点でもうダメなんだろうな。



時刻は1時。

取り合えず夕方までは頑張ることを決めて、私は鞄からノートや参考書を取り出した。







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