世界で一番、ずるい恋。





「つ、疲れた…」




やっぱり休憩ナシはダメだ。

3時間ずっとしてたら、脳が悲鳴あげている気がした。



んー、と伸びをしてカウンターから立ち上がる。




「先生、いるのかな…?」





窓に近付いて、そっと視線を数学準備室へと向ける。



……会いたい。

一目で良いから先生を見たい。




ただ、純粋に……大好きな人に会いたい。




「なーんてね」




純粋にだなんて笑えるよね。

今の私には、程遠い無縁の言葉だ。


純粋に片想いしてる人間はこんなことしないもんね。

故意に傷付けるようなことなんて、するわけがないよね。




「ーーあ、」




窓から離れようとしたとき、視線の先のカーテンが開いた。


思わず口元が緩んで、それと同時に胸が痛んだ。




先生。

やっぱり姿を見たら話したいと思っちゃうよ。




だから……そっちに行っても良いですか?






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