世界で一番、ずるい恋。



「だってこんな計算、日常生活に役立ちませんよね?」




簡単な数字を足して、引いて。掛けて、割って。


これが出来れば十分だと思うんだよね、私。

だから、これから生きていく上で二度と出会うことのないであろう記号を使って、謎の公式を用いってまで計算をする高校の数学に、全く必要性を感じない。



だったら文系に進めば良かったんだけど、数学がダメなだけで他の理系の教科は凄く好きなんだよね。

それに理数系だと、もれなく先生も付いてくるとなると、理数系を選ばないわけがない。





「学年トップがそんなこと言うなよ~…」






ガクンと肩を落としながら先生が言う。

いやいや、先生。そんなに落ち込まれたって困るんですが。


それに……。




「この間は二位だったのに、何の嫌味ですか?」




にっこりと微笑んで私が言うと明らかに " やってしまった " という顔をして、先生はそのまま顔を反らした。







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