世界で一番、ずるい恋。





高校三年の最初の中間は、見事に数学が足を引っ張って私は初めて " 二位 " という数字を見た。

そして、そのせいで更に数学が嫌いになってしまった。



ーー別に、こんな会話をしているけど、私は先生と特別仲が良いわけじゃない。

彼、矢野 浩也(やの こうや)は基本的に誰ともこんな感じでフレンドリーな先生。


それに加えて、若くて完璧なルックス。男女ともに人気がある。



だから私は、先生の特別なんかじゃない。

私は先生にとって、一人の生徒で、それ以上でもそれ以下でもない。


そう、私、阿波 茜(あなみ あかね)はどう足掻いたところで先生の中では、生徒なんだ。



肩まで伸びた黒髪を指に巻きつけながら、今日も一人落ち込む。

背が高いけど、他の子みたいに派手なメイクも髪色もしてないし目立つ要素はない。



だから、そんな私が先生に釣り合うだなんて、端から思ってない。


だけど、見てるだけで充分。そんなことは思えないし、これから先も思えないと思う。






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