かたつむりの恋

しかし、
この時期に
カタツムリなんてな。


そ、そ、そうなの？
普通、いないの？


相変わらず
赤面したままの私。


あんまり、
見かけないよな。


なんでだろな。
こいつ、
よっぽど、ノロマなんじゃーーーー
げっ！


鈴木はやっと
私の手を掴んでる事に、
気がついた。


わ、わりぃーーー。


慌てて手を離すと
鈴木は立ち上がった。


釣られて私も立ち上がる。











妙な沈黙に
雨音が混じって行く。













俺、行くわ。


う、うん。
私もスーパーに行かなきゃ。
お使い頼まれたの。


そ、そっか。


じゃあ、
気をつけて行けよ。
大通りは
車が多いからな。


クスクス……。
先生みたい。


笑うなよ。
心配してやってんのに。


ごめん、
ありがとう。
じゃ、行くね。


なんか、
変な話聞かせて、
悪かったな。


ううん。
大丈夫。


そっか。
さんきゅっ。


行くね。


これ以上、
ここにいると、
鈴木に私の心臓の音が
聞こえるんじゃないかと、
早く立ち去ることにした。


おう、
また明日な。


うん。
また明日ね。


私たちはそれぞれの
方向へと進んだ。