【仮題】鴉の箱庭

「"鴉"、ですか?」
「そうそう、その"鴉"に君の指名が入ってねー。あ、同室の柴田も指名されてさっき了承してたから。一人じゃないぞー?やってみんか?」

読書中のアキに飛び込んできたのは
思いがけない一報だった。

生徒会ー通称"鴉"と呼ばれる統率機関で
その権力は都市全域に通用するものであり、
いわば自治体幹部のようなものだ。

成績優秀者、優秀な勤労者、財力保持者など
選考基準は噂上様々であるが、詳細は誰も知らない。

これは絶好のチャンスだとアキは読んだ。

夢の叶えられる一番の近道。
「権力を手に入れること」
その権力が今眼前にぶらさがっている。

「ええ、お受けいたします。先生。」

逃してたまるもんか。
この権力だけは必要なんだ。

担任が、自分の評価がまた上がる、と
意気揚々に立ち去るのを見て、
叫び出しそうな感情を抑えた。

これでいい。
俺はのし上がってみせる。



俺は携帯を取り出して
ミツルの番号を呼び出した。

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