【仮題】鴉の箱庭
ーームカつく。
「...言ったよなぁ?」
殺しても、足りない
「"掟"、でしょ?第1項 鴉はーー」
「煩い。分かっている。」
黒髪ショートの男女(おとこおんな)ーー正木 玲(まさき れい)は構えていた竹刀を降ろして、心底怠そうに腕を組んだ。
そのでかい態度も気に食わない。
「第1項 鴉は鴉を守るため、会長の存在を明らかにしない。 だろ」
「良く分かってるじゃないか。てっきり忘れているのかと思っていた。」
「俺を脳味噌の許容量(キャパシティ)が低い馬鹿だと言いたいのか?」
レイを庇うソウイチの発言も今は
普段は温厚なミツルの頭部の血管が浮き出る程苛つかせるだけだった。
「忘れたか?俺は手を出せば許さないと言ったはずだ。」
「あの新人がヘマしたからいけないじゃんっ!」
「...リアが喋るとややこしくなるから静かにしてなさい。」
5匹の鴉がいる箱庭は、窓から差し込む夕日でその狂気塗れの空間には似つかわしくない程、アキに対する心情のように柔らかく、それでも何処か粉々に砕きたい衝動のように鋭かった。
ーー瞬間、
「おい、柴田 抑えろ」
「え、あ、 しっ、しば...」
「お、落ち着いて!悪かったから!」
「.............」
4匹の鴉は
夕日のせいじゃなく
紅く染まる
ミツルの片瞳に
背筋を凍らせた。