【完】君ノート
それから…
私はどこをどう歩いていたかは分からない。
視界でボヤける世界を見たくなかった。
だからうつむいて歩いた。
ただ、目の前にある道を歩いてるだけだった。
あてもなく、与えられた道を。
自分で自分の道を歩こうとしなかった。
空き教室へ向かおうとしなかったんだ。
優くんに会えるっていう、道には行かない。
私は強くならなきゃいけないから。
これを人は……強さという?
それとも、逃げるというの?
私には分からない。
でも、涙で滲んだ世界を、ただひたすらさまよっていた気がした。