【完】君ノート
この懐かしい温もりに包まれていると、
なんだか、怖いっていう気持ちが溶けて行くような気がするのは……なんでだろう?
お母さん。
私、強くなれるかな。
「頑張る。
私、お父さんとちゃんと向き合う…。
優くんのくれたこの声で、ちゃんと気持ち伝える。
…強くなりたい」
花のように、強く……。
幸せを運ぶ……音。
「強くなれるよ。
強くなって、幸せになろうな」
「うんっ」
強く、うなずくことができた。
「花音、ノート持ってる?」
優くんの言葉に、私はあのノートを鞄から取り出す。
声が出るようになって、使うことがなくなってしまったノート。
でも、私はこのノートをずっと持っていた。