【完】君ノート
「声を失くしたことで、悲しい思いもたくさんした。
でも、優くんっていう素敵な人に出会えたから……。
私はそれを受け入れられる」
私はきっと、優くんのために生きてきた。
「その人が、花音を……助けてくれた人か?」
「うん」
「そうか……。
男っていうのが気にくわないけど、その人は花音を幸せにしてくれてるんだろうな…。
その証拠に、今花音が笑ってる」
〔花音、笑って〕
優くんのその言葉のおかげで、私は勇気をもらえて笑うことができた。
でも、今は心から笑っていられるの。
だって、なんだかおかしいの。
男っていうのが気にくわないって、優くんにヤキモチ妬いてるお父さんがおかしくて。
おかしくて、笑えちゃうの。
目の前のお父さんも、優しく微笑んだ。
温かいその笑顔を見ると、
私のお父さんなんだなって思った。
そして、愛されてるんだなって、実感できた。