【完】君ノート




───────────。




帰り道。


私とお父さんは、懐かしい道を通って帰っていた。


今までの家族の思い出を、辿るように。





「あ……花音。
ここ覚えているか?」



お父さんが指差した場所を見る。


緑が広がってる、自然豊かな場所だった。



「……?」


分からない。



「覚えてないか。まぁ、10年も前のことだもんな……」




──10年前……。



私はその野原を見つめた。


肌寒い季節の風が、私の鼻先をくすぐる。

そして思い出すように、目を閉じた。





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