【完】君ノート
────サァァ……。
寒い季節とは思えないほどの、
優しくて、温かい風が、
私とお父さんを包み込んだ。
手に持っているノートが、パラパラと音をたてる。
〔花音、笑って〕
『花音、笑って』
風の音が、その言葉を乗せて、わたしのもとへ届く。
懐かしい温もり。
その温もりに、愛を感じた。
風が運ぶ音は、愛の音だった。
「……ありがとう」
これからも、私たちを見守っていてね。
お母さん。
───────────。