【完】君ノート




────サァァ……。




寒い季節とは思えないほどの、


優しくて、温かい風が、



私とお父さんを包み込んだ。






手に持っているノートが、パラパラと音をたてる。




〔花音、笑って〕



『花音、笑って』



風の音が、その言葉を乗せて、わたしのもとへ届く。





懐かしい温もり。



その温もりに、愛を感じた。



風が運ぶ音は、愛の音だった。






「……ありがとう」




これからも、私たちを見守っていてね。



お母さん。





───────────。





< 355 / 433 >

この作品をシェア

pagetop