【完】君ノート




「優くん……ちょっといいかな?」




再びお父さんに呼ばれ、俺はノートを開いたまま、花音のもとに置いた。








そのノートのページは、未来予想図。


俺と花音との周りに、


犬と、たくさんの子供が、色とりどりの花畑に包まれている。


そんなページ。



黒白の世界なのに、色鮮やかなその未来のページを……。



花音、諦めるな。









「花音、また来るから……」



そうひとこと残すと、仏壇に目をやる。


……花音のお母さんの写真。



すごくキレイで、どことなく花音に似ている。



若く見えるあたりから、花音が幼い頃に亡くなったのだということを、暗示していた。




俺は花音のお母さんに手を合わせると、すぐに花音のお父さんのもとへ行った。






< 388 / 433 >

この作品をシェア

pagetop