【完】君ノート
「優くん……ちょっといいかな?」
再びお父さんに呼ばれ、俺はノートを開いたまま、花音のもとに置いた。
そのノートのページは、未来予想図。
俺と花音との周りに、
犬と、たくさんの子供が、色とりどりの花畑に包まれている。
そんなページ。
黒白の世界なのに、色鮮やかなその未来のページを……。
花音、諦めるな。
「花音、また来るから……」
そうひとこと残すと、仏壇に目をやる。
……花音のお母さんの写真。
すごくキレイで、どことなく花音に似ている。
若く見えるあたりから、花音が幼い頃に亡くなったのだということを、暗示していた。
俺は花音のお母さんに手を合わせると、すぐに花音のお父さんのもとへ行った。